太陽のある風景を撮ったとき、ふと疑問に思ったことがあるかもしれません。
「カメラで太陽を撮影すると、センサーが壊れるって聞くけど本当?」
この記事ではそんな不安を感じた方に向けて、
- 実際にカメラやスマホが壊れるケースとその理由
- 太陽撮影が危険とされるメカニズム
- 安全に、そして美しく太陽を撮影するための具体的な方法
を、初心者にもわかりやすく解説していきます。
太陽は、怖い相手ではなく「正しく向き合うべき光源」です。
あなたのカメラライフに自信と安心をプラスできるよう、じっくりガイドしていきます。
カメラで太陽を撮影すると壊れるのか?
「太陽を撮ってみたい」と思う瞬間、きっと誰しもが一度はあるはずです。
でもその前に、ふとよぎるのがこの疑問——
「カメラで太陽を撮ると壊れないの?」
実は、この疑問には「壊れる可能性がある」という明確な答えがあります。ですが、全ての状況で危険なわけではなく、「どう撮るか」によってリスクを回避することも可能です。
このセクションでは、なぜカメラが壊れるのか、そのメカニズムや注意点について、わかりやすく解説していきます。
カメラで太陽を撮ると壊れる理由

太陽の光はただ明るいだけではありません。強力なエネルギーを持つ光線であり、カメラの構造上、それを集めてしまうレンズとの相性は最悪です。
- レンズは虫眼鏡のように光を集める構造になっており、直射日光を浴びるとセンサー部分に強烈な熱が集中。
- 特に望遠レンズや大口径レンズは光を集める力が強く、短時間でもセンサー焼けを起こす危険があります。
- ミラーレスカメラではセンサーが常にむき出し状態のため、一眼レフよりもダメージを受けやすいです。
このように、たとえ数秒でも太陽にレンズを向けただけで、修理が必要になる事例は珍しくありません。
一眼・ミラーレスで太陽を撮る危険性

多くの人が「最新機種なら大丈夫なのでは?」と思いがちですが、むしろ最新のミラーレス機ほど要注意です。
- 一眼レフはミラーで光を反射するため、ある程度目やセンサーを守ってくれますが…
- ミラーレスは光が直接センサーに届く構造のため、ダメージがダイレクト。
- 一眼レフでも、ライブビューや動画撮影中はミラーレスと同様のリスクがあることも見逃せません。
さらに、太陽を直接入れていなくても、長時間レンズキャップを外して放置していた結果、内部が焦げたという実例もあります。
「撮っていないから大丈夫」ではなく、レンズが太陽の方向に向いているだけで危険は潜んでいます。
カメラで太陽を撮ると目は失明する?
そして忘れてはいけないのが、人間の目のリスクです。カメラを通して太陽を「見る」ことで、思わぬトラブルにつながることも。
本日(2024年8月3日)の太陽黒点です。
— ちはや星と自然のミュージアム (@chihayaenchi) August 3, 2024
太陽活動が活発になると増える太陽黒点。
⚠️望遠鏡で太陽をそのまま見てはいけません!!!失明の危険があります。カメラを太陽に向けたり、太陽観察用メガネをかけずに太陽を見ることも危険です!!#太陽黒点 #ちは星 #ちはや星と自然のミュージアム #太陽観察 pic.twitter.com/xls7Qxi0K1
- 光学ファインダー(OVF)で太陽を直視すれば、目を焼いてしまう可能性があります。
- 特に望遠レンズを使ってファインダー越しに太陽を覗いた場合は、失明に近いダメージになることも。
- ファインダーを使わないライブビューやEVFなら目は守られますが、カメラ側のセンサーは依然危険な状態です。
「撮るだけなら大丈夫」と思って、ファインダーを覗いたその一瞬が、取り返しのつかないことになる場合もあるのです。
スマホで太陽を撮影するときの注意点
たまたま夕焼けがすごく綺麗で、スマホを構えてパシャ——「これってスマホ、壊れないよね?」
SNSでは日常的に見かける“太陽入りの写真”ですが、実はスマホカメラにもリスクはあるんです。
あなたのスマホ、ほんの少しの油断で、カメラが効かなくなったり、画面に線が残ったりすることも。
そんな「知ってるようで知らない」スマホでの太陽撮影。ここで整理しておきましょう。
スマホで太陽を撮って壊れた人、います
「1回撮ったくらいじゃ壊れないでしょ」
……って、誰もが思いますよね?
でも実際、SNSや知恵袋にはこんな声が上がっています:
太陽ばかり撮ってるから、カメラ壊れたかな?
— まちゅはる (@masuharu3) July 12, 2017
「昼間の太陽をiPhoneで撮ったら、そのあと白い点が残って消えない」
「一眼じゃないから大丈夫だと思ってたけど、ピントが狂ったまま戻らなくなった」
スマホのレンズも、原理は虫眼鏡と同じ。
ピンポイントで光が集まると、レンズ内やセンサー部分が過熱してしまうんです。
つまり、“やってる人は多いけど、実は壊れかねない”。これがスマホ太陽撮影のリアルです。
iPhoneは本当に大丈夫?機種によって差がある?
ここで気になる疑問がひとつ出てくると思います

Q:iPhoneなら大丈夫なんじゃないの?
答えは「条件付きでNO」です。
確かに、iPhoneは自動補正も優秀で、太陽のような強光源でもそれっぽく撮れてしまいます。
でも、センサーは他のスマホと同様、
強い光には耐えられません。
特に最新のiPhone Proシリーズでは高感度センサーを搭載している分、繊細になっています。
「高性能=壊れにくい」ではなく、むしろ高性能な分“弱点も明確”なんですね。
NDフィルターを知ってる?スマホ用もあります
ここで登場する“お助けアイテム”が、NDフィルター。一言でいえば「スマホにかけるサングラス」です。

でも、意外と知らない人が多い。なぜなら、
「スマホにフィルターってどうやって付けるの?」
「なんか難しそう」
と思われがちだから。でも実は…
- クリップ式:カメラに挟むだけ、安価で手軽
- マグネット式:専用ケースと組み合わせて使う、見た目もスマート
NDの数値(ND400やND1000など)は、“どれだけ光を減らすか”の目安。太陽を撮るときは、ND400以上が推奨です。
そして何より、フィルターを通すと太陽の輪郭や光の筋もはっきり写るようになります。
一気に“それっぽい”写真が撮れる、まさに一石二鳥。
綺麗に撮る方法は、実はテクニックより「時間帯」
スマホで太陽を美しく撮るための秘密は、テクニック以前に「時間帯」にあります。

ズバリ、朝と夕方だけ狙ってください。
なぜなら、
- 日中の太陽は強すぎて、スマホでは白飛びして何も写らない
- でも朝日や夕日は大気を通って光が柔らかくなっているから、センサーにも優しく、色も綺麗に出る
ここに、ちょっとしたテクニックを添えれば完璧です
- 画面を長押しして露出補正を暗めに
- HDR機能をオンにして明暗差を滑らかに
- 逆光になる位置に太陽を置くと、シルエットや光芒が美しく出る
特に逆光×夕日×人物のシルエットは、スマホでもプロっぽく見える黄金パターン。
太陽を安全かつ綺麗に撮影する方法
撮ってみたい。けれど壊れたら怖い。
太陽の撮影って、「憧れ」と「リスク」が紙一重なんですよね。
でも安心してください。
正しく準備すれば、太陽はあなたの味方になってくれます。
このセクションでは、安全に太陽を写すための実践テクニックと、ちょっとした美の演出方法をご紹介します。
機材を守りながら、太陽の“本当の魅力”を引き出すコツ、一緒に見ていきましょう。
NDフィルターで太陽を安全に撮るコツ

太陽を撮る。それは、カメラにとって最も過酷な条件を意味します。
スマホでも一眼でも、みんな撮ってるし大丈夫でしょ
そう思って太陽を真正面に撮った結果、
センサーが焼けて修理に数万円──なんて話、実際にあります。
でも、必要なのはほんのひとつの対策だけ。

NDフィルターは、レンズに入ってくる光を大幅にカットしてくれるフィルムのようなもの。
サングラスをかけるように、太陽の“強すぎる光”を和らげてくれるんです。
たとえばこんな種類があります:
- ND400(光を1/400に)
- ND1000(光を1/1000に)
- 天体撮影用のND100000相当までいけば、太陽を直視しても撮れるレベル
組み合わせてもOK。ND400とND16を重ねれば、実質ND6400。重ねることでより強い減光効果が得られ、安全性が高まります。
撮影前にこれをレンズに取り付けるだけで、
あなたのカメラは“太陽に向かう覚悟”が整います。
太陽の写真に光の筋を入れる方法
写真の中の太陽から、放射状にのびるキラキラした光――あれは偶然の産物ではありません。
新緑の光芒が美し過ぎた pic.twitter.com/fUxIqFKIj2
— kenichi.wiz (@Kenichi_Wiz_) May 29, 2025
#光芒が降り注ぐ時
— 関岡 大晃 | Hiroaki Sekioka (@hirography_321) May 25, 2025
今年も九州の光芒を見に行きたい。 pic.twitter.com/5DUWv0Ra6s
その正体は「光芒(こうぼう)」と呼ばれます。
これは、カメラの絞り羽根が光を切り裂くことで生まれる現象で、撮影設定と構図によってくっきり現れます。
ポイントは以下の3つ:
- 絞り(F値)をF16以上に
→ 光を細かく絞ることで、光が鋭く分散します。 - 太陽を少し隠す
→ 木の枝や建物の角に太陽を“ほんの少しだけ”隠すと、筋がシャープになります。 - カメラの位置と角度を微調整する
→ 少しのズレで光の形は大きく変わります。試行錯誤が大切。
スマホでは絞り値を直接変更できないことが多いため、代わりに光を遮る構図やタイミング(朝夕の斜光)を活用すると近づけます。
自然の光を“設計する”ような感覚で、挑戦してみてください。
逆光やハレーションを活かした撮影テクニック

逆光というと「撮りづらい」「眩しい」「失敗しそう」と思いがちですが、実は太陽の美しさを最も引き出せるのが逆光撮影です。
光をまとった空気感や、柔らかい雰囲気。あの独特の表現は順光では出せません。
安全に撮るには、まず朝や夕方など太陽が低い時間帯を選びましょう。
加えて、NDフィルターで光量を抑えることで、カメラへのダメージも軽減できます。
自分はこういうハレーションのある太陽が好きなんですよ。スマホのカメラじゃ上手く撮れない、最低でもデジカメじゃないと映らないような。 pic.twitter.com/JGu1amTyr8
— エイサ=ブレイナード@ROUTE32 (@namusan_bump_y) December 19, 2016
逆光で現れる「フレア」や「ゴースト」もポイント。一見ミスに見えるこれらの光のにじみは、構図に取り入れれば“味”になる演出です。
- フレア:やわらかな光の霞
- ゴースト:画面内に現れる光の輪や点
レンズの角度や絞り方である程度調整可能です。
逆光は、工夫次第で写真に深みと印象を与える大きな味方になります。
カメラで太陽を撮影するとどうなる?:まとめ
「カメラで太陽を撮影すると壊れる」──これは単なるウワサではなく、条件次第で本当に起こりうるリスクです。
特にNDフィルターなどの対策をせず、日中の太陽を直視・直撮りすれば、カメラも目もダメージを受ける可能性があります。
でも、それは「太陽を撮ってはいけない」という意味ではありません。
最低限覚えておきたいポイント
- 太陽撮影にはNDフィルターが必須(スマホ用もあり)
- 撮影はできるだけ朝や夕方など光がやわらかい時間帯に
- 撮るときはファインダーではなく背面液晶やライブビューで
- センサーも目も守るには、「短時間・遮光・計画撮影」を意識すること
この記事で紹介した内容を押さえておけば、
「太陽を撮るのが怖い」から、「撮ってみたい」へ、あなたの一歩が変わるはずです。
大切なカメラを守りつつ、太陽の輝きを写真に残しましょう。




