「中古のカメラを買ったけど、減価償却ってどうすればいいの?」
そんな疑問を持ってこのページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。高価なカメラは、仕事道具であると同時に、節税の武器にもなります。
しかし、中古というだけで扱い方に迷いが出やすく、「耐用年数は?」「定額法?」「30万円未満なら経費?」と混乱するケースも少なくありません。
本記事では、中古カメラの減価償却について、税務のルールに沿って徹底的にわかりやすく解説します。個人事業主やフリーランス、白色申告・青色申告の違い、計算方法の選び方、そして実際の処理例まで、実務で役立つ情報を網羅。
税金で損をしないために、この記事でしっかりと基礎から確認していきましょう。
本記事に書いてあること
- 白色申告と青色申告で異なる経費処理の方法
- 30万円未満のカメラ購入時の正しい節税判断
- 中古カメラの減価償却に必要な耐用年数と計算ルール
- 減価償却を行わないことによるリスクとデメリット
中古カメラ減価償却の基本と注意点
「中古のカメラを買ったとき、減価償却はどうすればいいの?」
そう疑問に思うカメラマンや副業者、個人事業主の方は多いはずです。
新品とは違い、中古カメラは「いつ誰が使っていたか」「どれくらい経過しているのか」が分かりづらく、帳簿上の扱いに迷いやすいポイントでもあります。
この章では、減価償却の基本的な仕組みや考え方を整理したうえで、中古カメラに特化した注意点を丁寧に掘り下げます。
申告区分(白色/青色)による違いや、よく使われる「定額法」などの計算方式も含めて、曖昧になりがちな論点を一つひとつクリアにしていきましょう。
カメラ減価償却の耐用年数とは
減価償却の第一歩は、「その資産を何年間にわたって経費にしていくか」=耐用年数を正しく知ることです。

カメラのような高額な撮影機材を購入した場合、その全額を一括で経費にすることは基本的にできません。これは税務上、資産の価値が複数年にわたって使用されると考えられているためです。
つまり新品でカメラを購入した場合、5年間に分けて経費にする必要があります。
しかし、中古カメラのように「すでに使用歴がある資産」は少し話が変わってきます。
ここでポイントとなるのが、中古資産に適用される「簡便法」です。
中古カメラの耐用年数は
以下のルールで算出されます:
- 法定耐用年数の全期間を経過している場合:法定耐用年数 × 20%(ただし最低2年)
- 一部を経過している場合:(法定耐用年数-経過年数)+経過年数 × 20%
たとえば、5年の耐用年数を持つカメラを3年落ちで購入した場合、
(5年-3年)+(3年 × 0.2)
=2年+0.6年 → 2.6年 → 切り捨てで2年。
このようにして「残りの寿命」を合理的に見積もるわけです。
ただし、経過年数が分からないケースも多く、その場合は新品と同様に5年で償却するのが原則的な対応になります。
実際、中古ショップでは製造年が明記されていない商品も多く、現実的にはこの「5年一律ルール」を適用する場面が多くなるでしょう。
耐用年数を見誤ると、減価償却の計算そのものが間違ってしまい、税務リスクにも繋がります。
カメラの価値が年々減るという現実と、帳簿上の処理をリンクさせるこの仕組み、しっかり押さえておきましょう。
カメラ減価償却の計算方法を解説

中古カメラの減価償却を行うには、「いくらを」「何年で」「どうやって」償却するのかを明確にする必要があります。
これは言い換えると、「取得価額 × 償却率 × 使用年数」の構造を理解することです。
次に、先ほど説明した「耐用年数」を用いて償却率を適用します。減価償却には主に「定額法」と「定率法」の2種類があり、個人事業主(特に白色申告者)は原則として「定額法」で計算します。
定額法では、毎年同じ金額を経費化していくシンプルな方法です。
たとえば、耐用年数2年と判断された20万円の中古カメラなら、
20万円 × 0.5(=2年で均等償却)=毎年10万円ずつ経費として計上という具合になります。
定率法は、毎年の残存価額に一定の率をかけて償却していく方法ですが、原則的に法人か、個人でも税務署への届出をした場合のみ使用できます。
中古品のように残価や利用年がバラつく資産には適していますが、事前の手続きがネックになることも。
また、年の途中で購入した場合は「月割り計算」が必要です。
たとえば6月に購入したなら、1年目は半額、残りを翌年以降に配分します。これは使用期間に応じた公平な経費配分のための基本ルールです。
「購入時期」「申告区分」「償却方法」の3つを押さえれば、計算は決して難しくありません。
少しでも迷ったら、税務署や会計ソフトのガイド機能を活用して、ミスなく処理することが重要です。
カメラ減価償却の定額法とは

減価償却といえば「定額法」といっても過言ではありません。
特に中古カメラの処理においては、この方法を用いるケースが非常に多くなります。というのも、定額法はシンプルかつルールが明確なため、個人事業主や副業カメラマンにも扱いやすいのが特徴です。
定額法の基本は「耐用年数で均等に割る」というものです。たとえば20万円のカメラを2年で償却すると決めたら、年間10万円ずつ経費として計上することになります。
税務上の処理も「今年いくら」「来年いくら」とスケジュールが決まっているので、記帳や管理もしやすいです。
もう一つの利点は、税務署に事前の届け出が不要なこと。定率法は届出が必要ですが、定額法は青色でも白色でも基本ルールとして認められているので、特別な手続きなく使えます。
一方で、定額法のデメリットとしては「初年度の節税効果が限定的」という点があります。定率法のように初年度にドンと大きく償却することができないため、年ごとの税負担のバランスを見ながら判断する必要があるのです。
ただし、税金対策は「毎年コツコツ型」でも十分に効果を発揮します。定額法は手堅く節税を進めたい人に最適な方法だと言えるでしょう。
中古カメラの減価償却で迷ったときは、まず定額法を検討する。それが安心と効率を両立する第一歩です。
カメラ減価償却の償却方法の種類

「減価償却のやり方って、一つじゃないの?」
と思っている方は多いかもしれませんが、実は減価償却にはいくつかの選択肢があります。
代表的なのが「定額法」と「定率法」。そして、青色申告者限定で活用できる「一括償却資産」や「少額減価償却資産の特例」もあります。
すでに説明したとおり、定額法は耐用年数で均等に分割する方法。一方の定率法は、年々減少する価値に対して減価償却する方法です。初年度の償却金額が最も多く、年を追うごとに減っていくのが特徴です。
これは減価償却をせず、購入年の全額を経費にできるという非常にありがたい制度。
さらに、20万円未満の資産については「一括償却資産」として3年間の均等償却も可能です。
年ごとに税金の状況を見て、償却方法をうまく使い分けるのも、カメラマンにとっては重要な経営判断のひとつです。
自分に合った償却方法を選べば、節税も管理もラクになります。制度を知っているだけで、会計処理の自由度は大きく変わってきますよ。
デジタルカメラ耐用年数と国税庁の基準
「このカメラ、何年使えるものとして申告すればいいの?」そんな疑問に対して、最も信頼できる答えをくれるのが国税庁です。

結論、デジタルカメラの耐用年数は「5年」。
これは新品購入時を前提にしており、カメラ本体・レンズ・ストロボといった主要機材がこのカテゴリに含まれます。
ただし、これは会計上の話であって、実際に5年使えるかどうかは別の問題。たとえばプロの現場では、3年程度で買い替えることが一般的です。その場合でも、帳簿上は5年として処理を進めるのが基本となります。
中古カメラの場合、いつ誰が購入したかが不明であるケースも多く、結果として新品と同様の5年で処理するのが無難です。特に耐用年数の見積もりが難しいときは、税務上もその対応が認められています。
「耐用年数の正確な理解」が減価償却の土台です。迷ったときは、国税庁の耐用年数表を参照する。それが正しい第一歩です。
中古カメラ減価償却の実務対応まとめ
理屈が分かっても、実際にどう処理するかは別問題。中古カメラの減価償却は、計算方法や耐用年数だけでなく、「申告区分」や「帳簿の付け方」によっても扱いが変わります。
この章では、白色申告・青色申告それぞれの違いや、個人事業主が注意すべき実務上のポイントをまとめて解説していきます。
さらに「30万円の壁」や「国税庁の指針」、売却時の処理方法など、実際に直面しやすいケースを想定して理解を深めていきましょう。
「結局どう仕訳すればいいの?」と迷ったときの道標となる内容を、丁寧にお届けします。
カメラ減価償却と白色申告の違い
白色申告と青色申告では、カメラの減価償却における“自由度”がまったく違います。

この差を理解せずに処理してしまうと、本来なら節税できたはずの金額を無駄にしてしまうかもしれません。
しかし、10万円以上になると原則として「固定資産」として計上し、法定耐用年数(5年)に基づいて減価償却を行う必要があるのです。たとえば15万円のカメラを買った場合、毎年3万円ずつ、5年間かけて経費にしていきます。
これは購入年度に全額を経費化できる特典。たとえば29万円のカメラを買ったとしても、白色申告では5年分割、青色申告では一括経費、という違いが出ます。
この違いはとても大きいですよね。
年間の所得がギリギリ課税ラインに届くかどうかという人にとっては、青色申告を選ぶだけで節税効果が段違いになるのです。
つまり、白色申告の場合は「10万円」が、青色申告の場合は「30万円」が、大きな節目になります。
中古カメラの価格帯がこの範囲に集中している以上、申告区分の違いが節税に直結することは言うまでもありません。
節税したいなら、まず青色申告を検討する。これが第一歩です。
カメラ減価償却と個人事業主の留意点

それは、売上と利益に直結する“税務戦略”の一環なのです。
たとえば、開業初年度に30万円の中古一眼レフカメラを購入したとします。これをどう処理するかで、年間の課税所得が大きく変わります。
青色申告であれば一括償却も可能ですし、白色ならば5年間で分割して経費に計上することになります。
さらに重要なのが、「事業に使っている割合」=按分の考え方。
プライベートでも使うカメラの場合、100%を経費にはできません。たとえば「仕事:趣味=7:3」で使っているなら、経費化できるのは7割のみ。
また、「いつ買ったか」も減価償却額に影響します。 1月に購入したのか、12月に購入したのかで、初年度の経費計上額はまったく違います。これは“月割り償却”といって、使用した月数に応じて按分する必要があるからです。
そして意外と見落としがちなのが、「中古カメラを売却した場合」の対応。償却中に売却すれば、その売却益に対して課税が発生するケースもあるため、「売ったら終わり」では済まないのが実務の難しいところです。
個人事業主の帳簿は、税務調査の対象にもなりやすいと言われています。特に高額機材の処理には、ルールを守って透明性ある会計を行うことが求められます。
「経費にできるからOK」ではなく、「どう経費にするか」が問われるのが個人事業主の現実。
あなたの活動スタイルに合わせた償却方法を、しっかり選びましょう。
カメラ経費30万円の判断基準とは
「カメラが30万円未満なら、全部経費にできるんでしょ?」

このような情報を耳にしたことがある方も多いかもしれません。確かに、青色申告者には「少額減価償却資産の特例」があり、30万円未満の資産を全額経費にできる制度があります。
しかし、ここで注意したいのが“30万円未満”というラインの意味。
これは「税込価格」ではなく、「税抜価格」で判定されます。
たとえば、33万円(税込)のカメラを購入した場合、税抜にすると30万円を下回るかどうかが分かれ道になります。
また、「セット購入」の場合も注意が必要です。たとえば、カメラ本体とレンズを別々に購入したとしても、“一体として使用する”とみなされると合算で30万円を超えてしまう可能性があります。これによって、少額償却の特例が使えなくなるリスクもあります。
さらに、「少額償却資産の特例」は年間300万円までという限度があるため、複数の機材を同年に購入した場合、トータルで上限を超えないように注意が必要です。
もう一つの落とし穴は、「白色申告者にはこの特例は使えない」という点。白色の場合は10万円が上限で、それを超えると減価償却の対象になってしまいます。
カメラ購入は単なる買い物ではなく、税務判断でもある。その意識をもつことが、損をしない第一歩です。
カメラ耐用年数の国税庁ルールとは
耐用年数って、誰が決めているの?

この素朴な疑問に対する答えが「国税庁」です。カメラをはじめとする多くの資産は、国税庁が定めた「耐用年数表」に基づいて、会計上の取り扱いが決まっています。
この耐用年数表では、カメラは「光学機器」として分類され、耐用年数は5年と明記されています。
これが、新品のカメラを減価償却する場合の基本的なルールです。
では、「中古品」の場合は?
この場合、国税庁は“簡便法”を認めており、法定耐用年数を基にした特別な計算が必要です。
【法定耐用年数×20%(2年以上)】のように、合理的に使用可能年数を見積もる手法が採用されます。
また、カメラに限らず、「資産の種類によって耐用年数が変わる」点も重要です。たとえば同じ撮影機材でも、パソコンや照明機材はそれぞれ耐用年数が異なるため、まとめて処理すると帳簿がズレる原因になります。
税務署に相談すると、「国税庁の基準に従ってください」と案内されるのが通例です。だからこそ、この耐用年数ルールを正確に理解することが、トラブル回避の第一歩になるのです。
国税庁ルール=減価償却の憲法のようなもの。
知らずに損をする前に、一度は目を通しておくべき資料です。
中古カメラの耐用年数を求める方法
中古カメラを購入したとき、最大の悩みは「これ、あと何年使えることにすればいいの?」という点でしょう。

新品のように「耐用年数=5年」と一律に処理するのではなく、中古品特有の考慮が必要になるからです。
大まかには以下のように考えます:
- 法定耐用年数を過ぎた中古品:法定耐用年数×20%(ただし最低2年)
- 一部使用された中古品:残存年数+経過年数×20%を合算して切り捨て
たとえば、5年の耐用年数を持つカメラを、購入時点で2年使用済とわかっていれば、
(5年-2年)+(2年×20%)=3.4年 → 切り捨てで3年という具合です。
ただ、現実には「何年使われたか分からない」中古品がほとんどです。そうした場合は、新品と同じ5年を適用するのが原則的な対応となります。
中古カメラの売買では、製造年や前オーナーの使用期間が不明なことも多いため、実務では「原則5年」に戻す判断が無難です。
もちろん、使用履歴が明確なら簡便法を使った方が節税効果が高くなるケースもあります。
耐用年数の設定は“推測”ではなく、“根拠ある判断”で行うことが大切。税務署が納得する説明ができるかどうかが、帳簿の信頼性を左右します。
減価償却しない場合のデメリット
「減価償却、面倒だからやらなくてもいいかな」
そんな考えがよぎることもあるかもしれませんが、それはとても危険な判断です。

これはすなわち、節税効果を自ら放棄してしまうことに他なりません。
たとえば、30万円のカメラを減価償却すれば、数年にわたって一定額の経費として所得を圧縮できます。ところが、処理を怠ると資産だけが残って、税金だけが重くなるという不利な状態に陥ってしまうのです。
また、帳簿に適切な減価償却がされていないと、税務調査時に「処理が雑」と判断される可能性があります。結果として、過少申告加算税や延滞税といったペナルティが発生するリスクもあります。
減価償却をしていなければ、売却益がそのまま課税対象になることも。適切な減価償却がされていれば、帳簿価額との差額だけが所得となり、課税額が抑えられます。
つまり、減価償却をしないことは「税金を余分に払う選択」と言っても過言ではありません。
手間を惜しまず、制度をきちんと活用することが、賢いお金の守り方です。
まとめ:中古カメラの減価償却は知識と判断力がカギ
中古カメラの減価償却は、ただの会計処理ではありません。それは、あなたの経費管理の精度と、税務対応力が問われる“知的スキル”でもあります。
この記事で紹介したように、減価償却には「耐用年数」「計算方法」「申告区分」など、複数の要素が複雑に絡み合っています。特に中古という条件が加わることで、判断すべきポイントはさらに増えます。
それでも恐れる必要はありません。
ポイントは、
- 国税庁のルールに沿うこと
- 自分の申告区分を理解すること
- 根拠を持って処理すること
この3つさえ押さえておけば、ほとんどの誤りは防ぐことができます。
中古カメラを経費にするのは、節税のチャンスであると同時に、帳簿の信頼性を高める機会でもあります。
もし、この記事を読んで「自分も処理を見直してみよう」と思った方は、今すぐ帳簿を開いて確認してみてください。
正しい知識と丁寧な実務が、あなたのビジネスをもっと自由にしてくれる。中古カメラの減価償却も、そのための一つの武器になるのです。
【この記事でわかったこと】
- 中古カメラの減価償却には独自の耐用年数ルールがある
- 中古資産の耐用年数は「簡便法」で算出できる
- 減価償却の代表的な方法は「定額法」と「定率法」
- 個人事業主は白色申告・青色申告で経費計上の範囲が異なる
- 30万円未満のカメラは青色申告者なら一括経費計上が可能
- カメラとレンズは「一体資産」とみなされることがある
- 購入時期によって初年度の償却額が変わる(=月割り償却)
- 国税庁の耐用年数表がカメラの償却判断の基準となる
- 減価償却をしないと節税効果を逃すだけでなく税務リスクも
- 帳簿に根拠ある処理を行うことが信頼される経営につながる




