「せっかく撮ったのに、なんだかピントが甘い気がする…」
ミラーレスカメラを使っている方なら、一度は感じたことがあるこの違和感。
構図も光も悪くないのに、どこか“ふわっ”とぼやけたような写真になってしまうーーそんな経験、ありませんか?
この記事では、そんなあなたのために、
「ミラーレスのピントが甘い」と感じる理由と、その対処法をやさしく丁寧に解説していきます。
本記事を読んで分かること
- ミラーレスの構造上の特性
- ピントが甘くなる撮影状況や設定の落とし穴
- 自分でできる改善策や、最終的なピント調整の方法まで
カメラ初心者の方でも安心して読めるよう、専門用語はできるだけかみ砕いて、実践的な内容を中心にまとめました。
👉 ピントのモヤモヤをスッキリ解消して、自信を持ってシャッターを切れるようになりましょう。
ミラーレスのピントが甘い原因とその仕組み
ふと撮った一枚。画面を拡大して見てみると、「あれ?ピント、合ってない……?」
ミラーレスカメラを使い始めたばかりの人にとって、これは珍しい体験ではありません。
「自分の撮り方が悪いのかな?」
「それともカメラの設定?」
そんなふうに悩んでしまう人も多いはず。
カメラの仕組みを知ることで、あなたの不安はきっと軽くなるはずです。
ミラーレスのピントが甘いと感じるのはなぜ?
ミラーレスカメラは、本来非常に精密なフォーカス性能を持っています。

たとえば…
- 「瞳」に合わせたつもりが「鼻先」にピントが合っていた
- 風景全体を撮ったのに、中央の木だけピンボケになっていた
- なんだか“ふわっ”とした写真ばかりになる
これらはすべて、「ピントが甘い」と感じる瞬間。
つまり、“ピントが外れている”のではなく、“思ったところに合っていない”だけのことも多いのです。
ピントが甘い写真になるメカニズムとは
ミラーレスのフォーカス方式には、少し癖があります。それが、「コントラストAF」と呼ばれるピント検出方式。

これは被写体の輪郭の“くっきり度”を見て、最もシャープな位置にピントを合わせようとします。
でもこの方法、実は…
- 被写体が動いていると苦手
- 暗い場所では精度が落ちる
- カメラが「ここだ!」と判断する場所が、自分の意図とズレやすい
たとえば、子どもの笑顔を撮ったつもりが、服の柄にピントが吸い寄せられていた……なんてことも。
最近は「像面位相差AF」などのハイブリッド方式も増えていますが、完全ではありません。
ミラーレス ピントが甘いときの主な原因一覧

テクニカルな話も含めて、以下のようなことが挙げられます:
- AFモードの設定ミス:AF-S(静止画向け)とAF-C(動体向け)を誤って使っている
- AFエリアの選択ミス:顔ではなく背景や小物にピントが合ってしまう
- 被写体との距離:近すぎるとピントが極端に浅くなり、ほんのわずかな動きでボケる
- 手ブレや被写体ブレ:ピントは合っていても、ブレると結果は同じ
- レンズとカメラの相性:特に社外製レンズや古いレンズでは、精度にばらつきが出ることも
- カメラの調整不良:ピント位置が物理的にズレているケースもある
「なんだ、こんなに原因があるのか」と思ったかもしれません。でも逆にいえば、一つ一つ見直せば、確実に改善できるということ。
次の章では、実際にどうピントを合わせればいいのか、ステップごとに紹介していきます。
ミラーレス ピントが甘いときの正しい合わせ方と設定
「原因は分かった。じゃあどうすればピントが合うの?」ここからは、実践的な対策に入っていきましょう。
設定を少し見直し、ちょっとした撮影時の意識を変えるだけで、あなたの写真は見違えます。
ピントが甘い写真を“卒業”するための具体的な方法を、ひとつずつ解説します。
ミラーレスのピントが甘いときのAF設定の見直し方
オートフォーカス(AF)は、カメラ任せにしていてもそれなりに働いてくれます。でも、「それなり」ではあなたの意図通りの写真は撮れません。

まずは以下の基本設定を見直しましょう。
❶ AFモード(AF-S / AF-C)の選択
- 静止している被写体 → AF-S(シングルAF)
- 動いている被写体 → AF-C(コンティニュアスAF)
ピントが合ったと思ったのにずれていた…というときは、AFモードの選択ミスが多いです。
❷ AFエリアモード(フォーカスポイント)の設定
- ワイドAFでは、どこに合うか予測しにくい
- ゾーンAF/シングルポイントAFで、被写体をしっかり狙い撃ちに
AFポイントが「顔の横の木」に合っていた…なんて悲劇は、これで防げます。
❸ 瞳AFや顔認識AFの活用
最近のミラーレスにはAIベースの瞳認識AFが搭載されている機種も。人物撮影ではこれをオンにしておくと、ピント精度が格段に上がります。
ピントが甘くならないための合わせ方のコツ
設定だけでなく、撮り方の工夫も大切です。

📌 フレーミングとピントの優先順位を意識する
写真全体をキレイに撮る前に、まず主役の“どこにピントを合わせるか”を決めましょう。
- 人物→ 目
- 花→ 花びらの前端
- 風景→ 構図内の1/3あたりのポイント
適当にカメラを向けるのではなく、「この写真の主役はここ!」という意識を持つだけで、ピント精度は激変します。
📌 シャッター半押し or AF-ONボタン活用
シャッター半押しでフォーカスを固定し、**構図を動かして再構築する「フォーカス・リコンポーズ」も有効です。
また、カメラによってはAF-ONボタン(親指AF)**を使えば、よりピンポイントなピント合わせができます。
ミラーレス ピントが甘いときに見直すべき撮影条件
設定も意識も問題ないのにピントが甘い――そんなときは、撮影環境を疑いましょう。

✅ シャッタースピードが遅すぎる
- 手ブレ・被写体ブレでピントが甘く感じるケース多数
- 1/60秒以下は要注意。望遠なら1/250秒以上を目安に
✅ ISO感度が低すぎてシャッターが稼げない
- 室内や夕暮れなど、光が少ない場面ではISOを上げてシャッタースピードを確保しましょう。
✅ F値が開放すぎる(被写界深度が浅すぎ)
- 「背景ぼかし」に憧れてF1.8などで撮ると、わずかなズレでピントが外れたように見える
- 初心者は F4〜F5.6 くらいでまず練習を!
次の章では、「それでもピントが甘いまま…」という場合の対処法を紹介していきます。カメラやレンズの不具合、調整の必要性についてです。
ミラーレスのピント調整が必要な場合と対処法
「設定も撮り方も見直したのに、やっぱりピントが甘い気がする…」
実は、ミラーレスでも“ピントのズレ”が物理的に起こることがあります。
この章では、ピント調整が必要なケースの見分け方と、その対処法を詳しく解説していきます。
ミラーレス ピントが甘い原因がカメラ側にあるケース
どんなに撮影技術や設定を磨いても、機材に問題があるとピントの正確性は担保できません。

以下に当てはまる場合、カメラやレンズ側に問題がある可能性があります:
- 同じ条件で撮っても、常に同じ方向(手前・奥)にピントが外れる
- 複数のレンズで試しても、ピントのズレ方が一貫している
- 瞳AFや顔認識が機能していても、意図しない箇所にピントが合う
このような場合、カメラ本体のAFセンサーやレンズとの通信にズレがある可能性が考えられます。
ピント調整が必要かどうかの見分け方
自分でピントのズレを確認するには、次のような方法が有効です。

🧪 ピントチャートを使ったテスト撮影
- 「ピント調整チャート」と呼ばれる印刷物を使い、ピントが合っている位置を確認します
- 三脚を使い、垂直にカメラを固定して、中央のフォーカスポイントで撮影します
- 明らかに「手前」や「奥」に合っていたら、ピントズレの可能性が高いです
🔄 複数のレンズで比較してみる
- 1本のレンズでだけズレる場合 → レンズ側に問題あり
- どのレンズでもズレる場合 → カメラ本体にズレの可能性
💡 RAW現像での確認もおすすめ
- RAWデータで撮影し、PCで拡大チェックすると、JPEG圧縮では分かりにくい“微細なズレ”も判別できます。
「何となく違和感がある」を放置せず、データで“見える化”するのが、判断の第一歩です。
ピントが甘い問題が解決しないときの最終手段
いろいろ試したけどダメ。そんなときは、プロに任せるのが最善です。

🔧 メーカーの点検・調整サービスを利用する
- Canon、Sony、Nikonなどは、有償または保証内でAF調整サービスを提供しています
- 「AFマイクロアジャストメント機能」を使っても改善しない場合、ぜひ検討を
🧩 レンズとの相性問題を疑う
- 社外レンズや古いモデルでは、ファームウェアの互換性や接点不良が原因になることも
- 最新のファームウェアにアップデートすることで改善するケースもあります
✅ 買い替えを視野に入れる場合も
- 古いボディやレンズでは、AF精度や検出方式自体が限界なこともあります
- 「作品づくり」にこだわるなら、最新世代のAF性能は大きな武器になります
ピントが甘い。たったそれだけの違和感が、写真全体の完成度や満足度を左右します。
まとめ:ミラーレスのピントが甘いと感じたら、まずは一歩ずつ見直してみよう
ミラーレスカメラで「ピントが甘い」と感じたとき、それは決して珍しいことではありません。
設定のちょっとしたミス、光の条件、AFのクセ、撮り方のクセ… 原因は一つではなく、いくつかの要素が重なっていることがほとんどです。
今回の記事では、
- なぜピントが甘くなるのか(原因)
- どうすれば改善できるのか(設定・撮影法)
- それでも解決しない場合の見極め方と対処法(調整・点検)
といった流れで、初心者にも分かりやすく“ピントの悩み”に向き合うヒントを紹介しました。
✅この記事でわかったこと(まとめ)
- ミラーレスはピントが甘く感じやすいが、原因の多くは設定や環境にある
- ピントが甘くなる主な要因はAF設定ミス、手ブレ、被写体との距離など
- ミラーレスのAFは正確だが、意図とズレることがある
- ピントが甘いときはAFモードとAFポイントの見直しが有効
- シャッタースピードやISO感度、F値もピントに大きく影響する
- 開放F値での撮影は被写界深度が浅く、ピンボケしやすい
- ピントが合わない場合はピントチャートでズレを確認できる
- レンズごとの挙動を比較すると、原因の切り分けがしやすい
- どうしても改善しない場合はメーカーの点検や調整を検討すべき
- 機材や設定を見直すことで、ピントの悩みは解消できる可能性が高い



